Vol. 01

(1)家庭の防災は「命を守る準備」から

防災の基本

家庭の防災は「命を守る準備」から

家庭の防災で最も大切なこと

個人が家庭で防災に取り組む際、最も重要な対策は「命を守る準備」です。誰しも、自分や家族が災害で命の危険に合うことをイメージすることには抵抗があります。そのために、防災対策の多くは「家族全員が無事」であることを前提にスタートすることが多く、これが落とし穴となってしまうことがあります。

備蓄品の用意や防災グッズの準備、あるいは地震保険や火災保険の見直しは重要です。しかしこうした「助かった後に必要な準備」は、「命を守る環境」を確保してから行うべき防災対策と言えます。新生活をする際に、あるいは家庭内の防災を見直す際に、この優先順位をぜひ考えてください。

01 建物と室内の安全対策…大地震の揺れから「命を守る環境」の準備

地震予知はできず、大地震はかならず不意打ちで発生しますが、大地震が発生してからできる行動はほとんどありません。事前にどのような対策を講じていたかが、地震発生時の身の安全確保に直結します。そのため、命を守る環境作りで最も重要なことは、大地震に備えた「建物と室内の安全対策」と言えるのです。

各種の耐震固定器具

最も重要な防災グッズのひとつが「家具の固定用品」です。ホームセンターやネット通販で気軽に購入することができます。また、 三井のすまいLOOP公式HP での購入も可能です。

地震に対する建物の強さは、建築基準法という法律に定められている「耐震基準」でおおむね定まります。1981年6月1日よりも後に認可(建築確認申請)を受けている建物は、大地震の直撃を受けても1回目の揺れでは倒壊しない作りになっています。お住まいのマンションがいつ頃設計された建物なのかを確認することが、まずは重要です。
建物が大地震に耐えられる作りである場合は、室内の安全対策を行います。大地震が発生した際には特に次の様な点に注意が必要です。

  • 転倒 …背の高い棚や、冷蔵庫などの大型家電が転倒する
  • 衝突 …テレビや電子レンジなどの家電が地震の揺れで飛ばされる
  • 移動 …キッチンワゴンやピアノなど、キャスター付きの家具が移動する
  • 落下 …棚の上に置いてある荷物や、棚に収納されている食器が落下する
  • 飛散 …窓ガラスや食器棚の扉などのガラスが割れて、床の上に飛散する

室内でこのような事態が生じると、最悪の場合は命にかかわったり、負傷したり、あるいは避難経路をふさいでしまったりします。特に大きな被害が想定される家具から、優先的に固定などをすることが重要です。

マンションは戸建ての建物に比べると、建物そのものは比較的頑丈に作られています。しかし、地震の揺れによる室内の安全対策は部屋単位で行うことになり、特にタワーマンションの高層階は大きな揺れが想定されますので、徹底した家具・家電の固定が必要です。

02 避難計画と防災リュック…ハザードマップで避難の方針を確認

大地震による津波や土砂災害の発生、台風や大雨による高潮や洪水の発生、火山の噴火による直接的な影響が発生し巻きこまれそうになっている場合、命を守るためには「避難」をする必要があります。素早く安全に移動するための準備が重要です。

各サイズの非常持ち出し袋(イメージ)

このような、いかにも「THE・非常持ち出し袋!」という外見のリュックは安心感がありますが、見える所に置くと違和感があります。できればオシャレなリュックがオススメです。

日本中どこにでも発生する大地震の揺れと異なり、津波や水害などの災害は生じる場所が決まっています。海がなければ津波は来ず、河川がなければ洪水は生じないからです。こうした災害による影響は、「ハザードマップ」を見ることで想定することができます。マンションの周辺で「何が・どのくらい」生じるのかを事前に確認することが重要です。

建物周辺が沈んだり崩れたりしなければ、避難指示が出ても避難は不要となります。一方、建物周辺が何かしらの災害に巻きこまれる場合で、かつ「自分の部屋の高さ」まで影響が生じる場合は、避難しなければ命が危険にさらされますので、安全な場所へ移動するための準備が必要です。ハザードマップを見ることで、避難の方針を定めることができるのです。

03 在宅避難と防災備蓄…最低3日・できれば7日分の備蓄品を確保

マンションが戸建て住宅よりも優れている点は、津波・水害・土砂災害に巻きこまれても建物が大破しづらいことと、高さのある部屋に住んでいれば注視する必要が少ないことです。災害が生じると「避難所」へ行かなければならないような気になりますが、自宅が無事であり、十分な備蓄品があれば、避難所へ行く必要は少なくなります。

ライフライン停止に備えた各種の備蓄品

マンションに住まわれている方にご家庭で備えていただきたい備蓄では、「非常用トイレ」が最重要備蓄品になります。準備した水・食料と同じ「期間」分のトイレを最初に確保しておく方が望ましいです。

一方、建物や部屋が無事であっても、災害の影響で停電や断水が生じたり、流通が止まって買い物などができなくなったりすると、生活が困難になる可能性があります。そのため、マンション防災においてはライフラインの停止に備えた防災備蓄が重要になります。特に停電が生じると水が出せなくなる建物が多いため、停電&断水への備えが重要となります。

大規模な災害が生じると最初の72時間は人命救助が優先されます。命を守ることができた方々への支援は4日目以降に本格化するため、最低3日分の備蓄品は全世帯で用意しておくことが望ましいです。また、被災者が多くなる都市部のマンションにお住まいの場合は、支援が十分に行き届かない恐れがあるため、できれば1週間分の備蓄品を確保することが推奨されています。

終わりに

日本は世界有数の自然災害大国で、防災対策は必須です。しかし余りに気合いを入れて準備を進めようとすると、お金や手間がかかりすぎてしまい、どこかで息切れしてしまいます。防災は重要ですが、生涯継続が必要な項目です。「命を守る」という優先順位の高い項目から、無理をしない範囲でぜひ取り組んでください。


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