Vol. 02

(2)マンション防災で重要な「避難所へ行かない」準備

防災の基本

マンション防災で重要な「避難所へ行かない」準備

命を守った後は、生活を維持する準備が必要

前回のコラムでは、災害から命を守るための基本的な考え方についてお話をいたしましたが、今回は続きのお話…、命を守った後の備えとして必要な「生活を維持する準備」についてです。マンション防災において特に重要な「避難所へ行かない準備」についてご紹介いたします。

命を守る「避難場所」と生活をする「避難所」

災害時に「避難」をする先には、2つの種類があります。ひとつは「避難場所(指定緊急避難場所)」で、大地震による津波や火災、大雨による浸水や土砂災害などから「命を守る」ために逃げる場所です。避難場所は災害の種類に応じて異なる場所が設定されているほか、屋内だけでなく屋外が指定されている場合もあります。

もうひとつの避難先は「避難所(指定避難所)」で、こちらは身の安全確保をした後に移動する場所です。大地震による建物倒壊や火災被害、浸水や土砂災害などの影響で自宅が被害を受け生活することができなくなった方が、一時的に身を寄せる場所が避難所となります。避難所は原則として最寄りの学校などが指定されています。

命に危険が生じている場合は積極的に「避難場所」へ行くべきですが、生活をする「避難所」へは無理に移動する必要がありません。そもそも避難所は宿泊施設ではありませんので、夏は暑く冬は寒い、床は固くて冷たい、プライバシーもない、さらに「屋根と床」以外は全て自前で持ち込む必要がある、かなり過酷な環境となることが多いです。

マンションは戸建てよりも地震・水害に対して強固である場合が多いため、建物が無事であれば無理に避難所へ行く必要が無いケースが多くみられます。ライフライン停止に備えた防災備蓄品を確保することで、自宅に留まる「在宅避難」を送ることが可能となります。できるだけ自宅に留まる準備をすることがマンション防災のポイントとなります。

ライフライン停止に備えた準備

災害時に自宅へ留まる「在宅避難」においてまず重要な準備は、ライフライン停止への対応です。電気・ガス・水道・ゴミ回収などの停止に備えて、これらを代替するための防災用品や備蓄品を用意する必要があります。特に、自分と家族にとって階段の上り下りが厳しいと思われる階に住んでいる場合は、自宅に閉じこもれるような準備が必須となります。

断水対策はトイレの準備と「排水」を意識

断水対策は、飲料水や調理用水に必要な「水そのもの」の準備と、非常用トイレやウェットティッシュなどで行う「水の機能を代替する道具」の準備で行います。コラム1話でもご紹介しましたが、マンションでは非常用トイレの準備が最重要です。階段で地上へ降りるのが厳しい高さにお住まいの場合は、「1名×5回×7日~14日」分のトイレを最低限確保しておくことが望ましいです。

マンションの場合は「水道」が無事でも、排水管が損傷すると水を流せなくなるため、断水していなくてもトイレが使えなくなります。また、大地震などが生じた際に、排水管の点検が完了するまでは水を流してはいけないなどの規約を設けている建物もあります。お風呂に水を用意しても使えない場合があるため、やはり非常用トイレの準備は重要です。

各種の断水対策用品

水は重量があるため地上で給水を受けても部屋に持ち帰るのが大変です。エレベーターが動く平時の間に準備をしておくことが望ましいです

停電対策は「乾電池」と「カセットガス」を活用

停電に対しては、明かりを確保するための「ランタン」や、情報収集に使用する「ラジオ」、さらに「乾電池スマホ充電器」が必須です。これらの器具の多くは乾電池で動かすことができますが、電池のサイズを全て「単三」などで統一すると、使い回しができて便利です。アウトドアなどで使用する目的があれば「ポータブル電源」があると家電が使用できて役立ちます。

さらに食事周りの質を向上させるために、「カセットガスコンロ」があると役立ちます。食事の準備をしたりお湯を沸かしたりできることは、非常時の食生活を大幅に改善します。なお、食べればゴミが出ますが、非常時にはゴミ回収も停止しますので、日頃からゴミ袋のストックは多めに持ち、住戸内等に一時保管できるようにしておきましょう。

各サイズのポータブル「ソーラーパネル」

燃料いらずで発電ができるソーラーパネルは非常時に役立ちます。ポータブルサイズで必要な時に出して発電できるものがおすすめです。20W以上の出力があればスマホなどの充電が、100W以上の出力があればポータブル電源などの充電ができます。直射日光が必要ですので、日当たりを考慮して大きさを決めましょう。

防災備蓄品は「わが家の必需品」を忘れない

停電や断水が生じている状況では、日々の買い物もできなくなっている可能性が高くあります。支援物資などを受け取れたとしても、自宅が高層階にある場合は階段の上り下りが大変な負担となりますので、できれば1週間、可能であれば2週間程度、自宅で生活を継続できる備蓄品があると安心できます。

まず重要なのは「支援物資として確保しづらい我が家の必需品」です。例えば赤ちゃんのオムツやミルク、アレルギー対応の食品、介護用品、ペットフードや消耗品などは、災害時の支援としてもなかなか行き渡りませんので、事前準備が不可欠となります。無くなってから買うのではなく、常に一定の在庫を自宅に確保するようにしましょう。

飲料水・食料・日用品についても、発災から3日分程度はいわゆる「非常食」や「防災グッズ」が役立ちますが、1~2週間分の備蓄をする場合、全てを防災専用に準備するとお金と手間がかかります。普段食べたり使用したりしているものを少し多めに持つ「日常備蓄」で準備するとよいでしょう。台風直前などに慌てることも無くなります。

非常食の例_1
非常食の例_2

非常食を準備する場合は「加熱手段・お湯」の有無を確認してください。加熱やお湯を使うことができれば、上の写真のようにご飯や汁物などを食べることができます。常温のまま食べる場合は下の写真のようにパンの缶詰や固形食が中心となります。できればカセットガスコンロなどを用意して、1日1食は温かいものを食べられる様にしましょう。

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終わりに

災害により生じる停電・断水などライフライン被害は、日本中どこでも生じる恐れがあります。命を守る対策とあわせて、生活を維持するための準備も重要ですので、ぜひ平時の間に防災備蓄品を手厚く確保し、発災時に自宅へとどまることができる準備をしておくことが大事です。


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