Vol. 6

(4)夜間の大地震に対する停電対策と明かりの準備

大地震に備える

夜間の大地震に対する停電対策と明かりの準備
停電に備えて必要な明かりの種類とは?

命を守るために必要な「明かり」の確保

防災対策では「明かり」の準備が重要です。「そりゃまあ…暗いよりは明るい方がいいよね」という理由もありますが、明かりの準備は命を守るための行動に直結します。
人間は明かりのないところでは文字通りなにも行えません。とりわけ、夜間の大地震で停電が発生した場合、身を守るための行動すら行えなくなり、命が危険にさらされます。
また、建物が津波や大規模な火災に巻き込まれそうな場合は、素早い避難を行う必要があります。しかし停電により身動きが取れない状態になっていると、自宅の部屋から屋外へ移動することも難しくなります。
命を守るための避難を行うためにも、停電直後に明かりを確保することが重要なのです。今回は大地震に対する「明かり」の確保のお話をします。

大地震による停電用の明かりには「LEDライト」を活用する

ライトの光源には長らく「豆電球」が使われていましたが、昨今では多くのライトで「LED」が使用されるようになりました。
豆電球と比較するとLEDは、明るさ・電池の持ち・耐久性の全てにおいて優れており、非常時に向いたライトであると言えます。
かつて、停電時に使用する明かりとしては、「ロウソク」なども使われていましたが、地震対策用の明かりとしてロウソクは非推奨です。

大地震直後は強い地震が続く恐れがあり、「裸火」は火災の原因にとなるため使用は避けてください。 実際、100円ショップなどで購入できるLEDライトでも、ロウソクよりはるかに明るく長時間使用できますので、停電用の明かりとしてはLEDがおすすめです。
それではここから、具体的な種類について紹介します。

01 ヘッドライト・ネックライト

頭につけるヘッドライトや、首にかけるネックライトです。夜間避難時に身につけたり、救助や応急手当を行う際に装備したり、あるいは避難所でトイレや着替えの際に使用するなど、両手を自由にしたいシチュエーションでの利用に向いています。

防災リュックに入れておいたり、外出用の持ち歩き防災セットに加えたりするのに向いています。 写真の道具は左から、「乾電池ヘッドライト」「ボタン電池ネックライト」「充電式ツインネックライト」です。ヘッドライトは常に「目の前」が明るくなることが特徴です。頭につけたり、ヘルメットに取りつけたりして使用します。
ネックライトは頭の向きには追従せず、常に「身体の正面」が明るくなります。小型の物は軽量で扱いやすく、ヘッドライトを頭につけるのは気になってしまう、という場合に向いています。非常時だけでなく平時の散歩などにも使用しやすいのが特徴です。

ヘッドライト
ヘッドライト 普段使いにもおすすめ

02 手持ちの懐中電灯

手に持って使用する懐中電灯です。狙った方向をピンポイントで明るくできるため、移動や作業をする際の明かりに向いています。
安価で手軽なものから、高価で高機能なものまで種類も豊富にあり、選択肢が多いことも特徴です。
写真の道具は左から、「単1から単4全ての乾電池が使えるライト」「単三電池ライト」「充電式ライト」です。平時からライトを多用する場合は、繰り返し使える充電タイプのライトが便利で経済的です。
防災専用にライトを準備したい場合は、乾電池タイプがおすすめです。メーカー製の乾電池は10年保存ができるため、普段はシュリンク包装のままライトへ入れておき、使用する時にフィルムを剥いてライトにセットして使用します。

懐中電灯
懐中電灯 サイズもいろいろ

03 ランタン

テーブルや床に置いたり、高い場所から吊したりして使用するランタンです。
狙った方向ではなく周囲全体を明るくするため、生活空間へ設置する照明に向いています。停電時にランタンがないと生活が不便になるため、1台は準備したい明かりです。

写真の道具は左から、「スマホ充電もできるランタン」「アウトドア向けのランタン」「ソーラー充電できるランタン」です。ランタンも手持ちのライトと同じ、平時から使うなら充電式が、防災用に準備をするならば乾電池タイプがおすすめです。
据え置きで使用するランタンは、普段からインテリアとして使用したり、寝室の枕元の明かりとして活用したりすることができるアイテムも多くあります。
防災専用グッズは、購入したことを忘れてしまったり、そもそもお金もかかりますので、できるだけ普段使いできるアイテムを非常時「にも」使えるようにできるとよいでしょう。

ランタン
ランタン インテリアにもおすすめ

04 停電時自動点灯ライト

停電で明かりを失うことは、どのような状況においても大変なことですが、とりわけ問題になるのは「大地震と同時に発生する停電」です。 大きな揺れの最中に停電すると、身を守る行動が取れなくなります。

床に危険物…割れたガラス、刃物、尖ったものがちらばった状態で停電すると、身動きが取れなくなります。この状態で津波や火災が発生すると、避難が遅れて命を落とすことにもつながりかねません。
そこで、前述までの各種LEDライトに加えて、「停電したら自動的に点灯」してくれる「停電時自動点灯ライト」の準備をおすすめします。このライトは、普段はコンセントからの給電で使用し、停電を検知すると自動的に点灯する機能を持っています。
平時は日用品として使用し、非常時には命を守る明かりとして活用できるのです。

設置場所としては、まず就寝時の停電対策として寝室への設置がオススメです。リビングや子ども部屋など滞在時間の長い部屋、玄関や廊下など避難経路になる場所、キッチンなど危険物の多い部屋、またお風呂場の脱衣所など明かりを失いたくない空間などにも設置したいライトです。

写真の道具は左から、「普段はコンセントタップ」「普段はスマホ充電器」「普段はデスクライト」になる自動点灯ライトです。いずれも平時は日用品として使用し、停電時には自動点灯する明かりとして使用できます。
もちろん「普通のLEDライト」としても活用できますので、非常時の明かりとしても役立ちます。

停電時自動点灯ライト
停電時自動点灯ライト 普段使いにも

05 枕元ポーチ

大地震により停電が生じる状況においては、室内もメチャクチャな状況になっている恐れもあります。
例えば足下に、割れた窓ガラス、壁から落下した画びょう、散らばったインテリアや小物などが散乱していると、踏みつけてケガをしたり、避難が遅れたりする可能性が生じます。

そこで、停電時自動点灯ライトと合わせて、枕元に「ポーチ」を準備することをオススメします。
明かりを確保するためのLEDライト、手足を守るための手袋やスリッパ、万が一身動きが取れなくなった場合に救助を呼ぶホイッスル、またメガネなどが欠かせない場合は予備を、ひとまとめにしてポーチにいれておきます。

このポーチは、ベッドやサイドテーブルの引き出しに入れたり、紐で枕元に括り付けたりし、大地震の揺れで飛ばされないように固定します。
夜間に停電が生じた場合は、このポーチのアイテムを使用して寝室を脱出し、本命の防災リュックなどを取りに行くのです。

枕元ポーチ
枕元にポーチ 

終わりに

LEDライトの電源に「充電池(リチウムイオン電池など)」を使用する場合は、モバイルバッテリーやポータブル電源など、「充電池の充電手段」を確保することが重要です。
モバイルソーラーパネルなどがあれば、日中に充電を行い長時間ライトを使用することもできます。
電源に「乾電池」を使用する場合、防災用に準備しているグッズの電池サイズを統一すると便利に使用できます。
オススメは全ての乾電池機器を「単三電池」でそろえる方法です。単三電池は支援物資としても入手がしやすい他、サイズを統一することで使い回しが大変行いやすくなります。


無断転載禁止

ページトップへ戻る