Vol. 7

気象情報の種類と防災への活用ポイント

台風・大雨に備える

気象情報の種類と防災への活用ポイント
気象情報の種類?警戒レベルとは?

日本では気候変動に伴う異常気象によって、集中豪雨による災害や記録的な高温が相次いでいます。 毎年のように発生している気象災害は決して他人事ではなく、どこに住んでいても災害のリスクは無視できません。
しかし、気象災害は地震や津波、噴火と違って事前に予想できる現象です。 気象庁や自治体が出す気象情報や避難情報を適切に扱うことで、自身や大切な家族を守ることができます。そのためには、数ある情報を上手に活用し、防災に活かすことが大切です。
そこで今回は、気象災害に備えるために知っておきたい気象情報の種類と防災への活用方法を紹介します。

01 まずは知っておきたい気象防災の基本となる警戒レベル

【引用】:気象庁-段階的に発表される防災気象情報と対応する行動
【引用】:気象庁-段階的に発表される防災気象情報と対応する行動

気象情報を防災に活用するためには、大前提として「警戒レベル」を知っておく必要があります。
警戒レベルとは、災害の発生危険度やとるべき避難行動を5段階に表わしたもので、注意報・警報などの気象情報とも連動しています。
例えば、「大雨警報が発表されたら警戒レベル3」、「土砂災害警戒情報が発表されたら警戒レベル4」といった感じです。レベルが高くなるほど災害危険度が高まります。 警戒レベルと避難の目安は次の通りです。

  • レベル3(赤色)→避難を検討※高齢者等は避難
  • レベル4(紫色)→ただちに避難※避難指示に相当
  • レベル5(黒色)→すでに災害が発生して危険な状態


ちなみに、ここでいう避難とは「危険な場所からの避難」を指します。

「周囲に川がない洪水警報」や「周囲に海がない高潮警報」のように、災害の種類や立地によってはマンションにいた方が安全なケースもあるため、レベル4やレベル5だからといって必ずしも避難所に行く必要はありません。
一方で、「外出先が川の近く」や「住んでいるマンションが土砂災害警戒区域内に入っている」のように、今いる場所が危険な場合は警戒レベルに合わせた行動が必要です。

02 防災に活用したい気象情報の種類とステップ

防災に活用したい気象情報は以下の3つです。

  • 早期注意情報
  • ナウキャスト(雨雲の動き)
  • キキクル


それぞれの気象情報の概要と防災への活かし方を解説します。

5日先までの警報級の可能性が知れる早期注意情報

気象庁-警報級の可能性
【引用】:気象庁-警報級の可能性

早期注意情報とは、5日先までの間で気象警報が出る可能性を[中]もしくは[高]で表わしている気象情報です。

イメージとしては、「[中]が表示されていたら警報が出るかもしれない」、「[高]が表示されていたら警報が出る可能性がかなり高い」のような状況となります。 早期注意情報は、5日以内に気象災害で避難が必要になる可能性を知りたいときに便利です。
例えば、3日後に大雨警報の可能性が[高]になっていたら、「3日後に大雨で浸水や土砂災害が起こるかもしれないので、今のうちに避難できるように荷物をまとめておこう」と事前準備ができます。また、用事の予定を変更したり、極力外出しないように調整したりも可能です。

1時間先までの気象状況が分かる雨雲レーダー(ナウキャスト)

気象庁-雨雲の動き
【引用】:気象庁-雨雲の動き

雨雲レーダーとは、現在の雨雲や1時間先までの雨雲の動きが分かる気象情報です。
雷や竜巻の発生状況や、1時間先までの発生リスクも分かります。

活用のイメージとしては、早期注意情報や天気予報で大雨警報が出る可能性が高いとなっているときに、「どこで大雨が発生しているのか」、「自分のいる場所でも大雨が発生しそうか」などの状況を把握したいときに便利です。 雨雲レーダーをみるときは、特に「オレンジ色」、「赤色」、「紫色」の3つの色に注目してください。
※天気会社や天気アプリによってはほかの色で表示される場合もあります。

それぞれの色の雨雲が同じ地点に1時間連続でかかった場合、以下のようになります。

  • オレンジ色 → 30mm~50mmの雨(自治体によっては大雨警報が発表される)
  • 赤色 → 50mm~80mmの雨(側溝や小河川が氾濫して浸水箇所が増える)
  • 紫色 → 80mm以上の雨(大規模な浸水、土砂災害のリスクが非常に高まる)

1時間の雨量でもこのレベルですので、数時間にわたって活発な雨雲がかかり続けると大災害につながります。
また、雨雲レーダーでは3時間前から現在までの雨雲の動きが見られます。そのため、過去から現在までの雨雲の動きから、未来の雨雲の動きを大まかに予測し、今いる場所が活発な雨雲の通り道になるかどうかの見立てをする場合にも便利です。

ナウキャストはスマホにも最適化されているので、外出先でも使えます。

気象庁-雨雲の動き
【引用】:気象庁-雨雲の動き

画面の上部に雷や竜巻のマークがありますが、タップすると雷・竜巻のナウキャストに切り替えられます。 大雨が予想されているときはナウキャストをこまめにチェックしましょう。

リアルタイムの避難判断に役立つキキクル

気象庁-キキクル
【引用】:気象庁-キキクル

キキクルとは、土砂災害・浸水・洪水のリスクがリアルタイムで色ごとに表示され、避難のタイミングを判断する際に便利な気象情報です。
画像にある赤枠内で土砂災害・浸水・洪水の切り替えができます。
基本的な見方と行動内容は警戒レベルと同じです。

  • レベル3(赤色)→避難を検討※高齢者等は避難
  • レベル4(紫色)→ただちに避難※避難指示に相当
  • レベル5(黒色)→すでに災害が発生して危険な状態

使い方としては、「自分のいる場所が黄色から赤色に変わったので、いつでも避難できるようにしておこう」、「自分のいる場所は赤色だけど、雨雲レーダーでは今後も活発な雨雲がかかる予想なので早めに避難しよう」のような判断ができます。

ここで気をつけたいのが、避難所に向かう途中に災害に巻き込まれてしまい、かえって危険が高まる可能性もあることです。

そのため、キキクルで避難所に向かう途中に危険な場所はないかもチェックし、先ほど紹介したナウキャストで雨が弱まっているタイミングを見計らって避難行動をとりましょう。

キキクルはスマホにも最適化されているので、外出先でも使えます。

気象庁-キキクル
【引用】:気象庁-キキクル

画面下部のマークをタップすると、浸水・洪水のキキクルに切り替えられます。

03 その他の気象情報

以下の表には、これまで紹介した気象情報の補完に役立つ情報をまとめています。

情報名 概要 活用シーン
天気予報 今日から向こう1週間の天気や気温を予想 早期注意情報と照らし合わせ、避難を想定した場合に、天気が回復するまでの期間の目安が把握できる
今後の雪 過去24時間の積雪量や今後6時間先までの積雪量を予測 車の運転時に積雪が多い地域を避けてルート設定ができる
台風情報 台風の5日先までの進路、強さなどを予測 数日以内に台風による影響があるかを把握できる
気象情報 警報や注意報に先立って注意を呼びかけたり、警報や注意報の内容を補足 注意・警戒すべきポイントや、予想される降水量・風速などの具体的な数値が分かる
アメダス 雨、風、雪などを実際に観測して数値化したデータ 具体的な降水量や風速を把握することで、気象情報の予測と比較ができる

このように役立つ気象情報はたくさんあり、日々活用することで災害の危険度を自身でイメージできるようになります。

04 気象情報を活用して防災力を高めよう

気象情報の活用は防災力を高めることにつながります。
まずは早期注意情報や週間予報で数日以内に災害リスクを把握し、危険が差し迫っている場合には、雨雲レーダーやキキクルを使って避難の判断を行いましょう。

今回紹介したのは気象庁が発表している気象情報ですが、天気会社のサービスやアプリ等でも同様の情報を得ることができます。

ぜひ本記事を参考に気象情報を活用してみてください。


無断転載禁止

ページトップへ戻る