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初めての方にも“マンション管理”を理解していただくために、よく使われる代表的な専門用語をいくつか解説いたします。
正式には「建物の区分所有等に関する法律」という、主に一棟の建物を区分して所有権の対象とする場合の権利関係を明確にし、建物および敷地等の共同管理について定めた法律です。
この区分所有法はマンションに住むうえでとても重要です。
分譲マンションなどの区分所有建物では、区分所有法にもとづいて、区分所有者全員で構成された団体を設立することが定められており、この団体を管理組合と言います。
管理組合は、建物の共用部分や敷地を維持管理することが主な役割で、区分所有法で「集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる(第3条)」と規定されているため、管理組合は区分所有者の意見を十分に反映し、継続的な運営が求められています。
しかしながら、マンション管理は専門的業務が多いため、管理業務の一部またはすべてを管理会社などに委託して行うことが認められています(ただしマンション管理の主体はあくまで管理組合)。
マンション管理業務では、この“管理組合”のサポートが一番の比重を占めていると言っても過言ではありません。
分譲マンションのような区分所有建物では、快適なマンションライフを維持するために区分所有法によって、区分所有者間の所有関係や権利・義務といった基本的なことを定めています。
しかしマンションと一言でいっても、立地や構造、規模などがさまざまなように、管理や使用方法もマンションごとに異なるため、個々のマンションの実状に応じたルールを定めることができるとしています。このルールブックが「管理規約」です。
管理規約では、共用部分の範囲、使用方法、理事会の権限や義務など管理組合運営に必要なことが決められていて、いわば「マンションの憲法」と言えるもので、快適なマンションライフには欠かせないものです。
区分所有者の意思を統一し決定するのが総会です。それを実施し、管理組合の業務を遂行していく機関が理事会です。管理組合の核ともいうべき理事会と総会について説明します。
管理組合の役員
管理組合の組織は区分所有者全員を構成員とし、総会※で決議された管理業務を執行する「理事会」、管理組合業務を監査する「監事」が置かれます。そして、理事や監事が管理組合の役員となります。
役員に関する事項については、区分所有法では特に規定されていませんので、通常は管理規約で定められています。
※区分所有法では「集会」となっていますが、国土交通省の標準管理規約では「総会」と称しています。
管理組合の業務遂行機関「理事会」
管理組合の監査機関「監事」
監事は、管理組合の会計および理事会の業務状況について監査および報告をする役割を担っています。通常、1人または数人の監事が管理組合に置かれます。
ただし、監事は理事会の構成員でないため、理事会に出席して意見を述べることはできますが決議に加わることはできません。管理業務の執行および財産の状況に不正があると認められた場合は、臨時総会を招集することができます。
また、総会前に収支報告書の監査を行い、総会時にその報告を行います。
管理組合の仕組み
総会
総会には「通常総会」と「臨時総会」があります。毎年1回定期的に開催させるのが通常総会(定期総会)であり、ここでは管理組合の決算・活動報告、予算の審議や役員の選任等について決議が行われます。それに対し、文字どおり臨時に開催されるのが臨時総会です。
総会は、理事長(管理者)が招集するのが原則であり、理事長は少なくとも毎年1回通常総会を招集しなければなりません。
原則として、総会での議事は区分所有者および議決権の過半数で決議されますが、区分所有法で別段の定めがある場合もあります。また、組合員は書面または代理人(委任状)によって議決権を行使することもできます。この議決権は、一般的な管理規約では「組合員が所有する住戸1戸につき1議決権」となっていますが、専有面積に応じて議決権を定めている管理規約もあります。
区分所有法第38条(議事)
集会の議事は、この法律または規約に別段の定めがない限り、区分所有者および議決権の各過半数で決する。議決権は、書面で、または代理人によって行使することができる。
マンション管理業務は、この年に一回の総会を無事に終えて、初めて一年のサイクルが終わったと言えます。
平成13年8月1日に施行された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」は、住民の皆様の意識の変化やニーズの高まりに応えて、マンションの資産価値を守り、快適な住環境が確保できるようにとの目的から定められた法律です。
その中に、管理業者が安心できるパートナーとなるための「マンション管理業者の義務に関して業務規制」が設けられています。
「管理業務主任者」とは、マンション管理業者が管理組合等に対して管理委託契約に関する重要事項の説明や管理事務報告を行う際に必要な国家資格者のことを指します。
「管理業務主任者」になるためには、管理業務主任者試験に合格し、管理業務主任者として登録し、管理業務主任者証の交付を受けることが必要となっています。
「マンション管理士」とは、専門知識を持ち、管理組合の運営や建物構造上の技術的問題等のマンションの管理に関して、管理組合の管理者等またはマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言・指導その他の援助を行うことを業務とします。
「マンション管理士」になるには、マンション管理士試験に合格し、マンション管理士として登録することが必要となります。
建物の価値や機能を損なわないためには、日常的な維持管理はもちろん、長期的かつ計画的な修繕が必要になることは言うまでもありません。 マンションにおいては、一般的に「長期修繕計画」を作成し、その計画に沿って適切な修繕を行っていきます。
長期修繕計画の必要性
「マンションは、コンクリートの堅牢な建物なので修繕は不要」であると考えがちですが、雨風や直射日光に何年もさらされていれば、いかにコンクリートといえども色々な部分が劣化していきます。 例えば、外壁表面の塗料などの劣化を放置しておけばコンクリートが劣化し、ひび割れが生じます。その結果専有部分へ雨漏れすることもありますし、劣化が進行すれば建物本体にも重大な影響が生じます。
そのようなことを未然に防止するためにも、長期修繕計画を作成し、計画に沿った適切な修繕を行う必要があります。
長期修繕計画の必要性
長期修繕計画は、対象部位※の法定償却期間ではなく、過去の工事例に基づく物理的耐用年数や、美観保持等の観点から作成されています。そのため、マンションの立地、環境、材質、日常の管理方法などの個別要因によって内容に違いがでてきます。
したがって、各マンションの特性に合わせて、その建物や設備の耐用年数を推定し、それぞれの箇所の修繕周期を定める内容の主な項目としては、
1 建物、施設、設備の対象部位
2 工事の仕様
3 修繕周期
4 単価数量
5 工事推定価格
6 修繕実施予定年度
などがあげられます。
※長期修繕計画の対象部位は住戸部分を除くマンションの共用部分が対象になります。
修繕積立金・修繕積立基金
長期修繕計画を現実に活用していくためには、当然のことながら修繕資金の準備が不可欠です。特に大規模修繕工事には、多額の費用が必要となりますので、マンション竣工時 から資金を積み立てておく必要があります。 それが「修繕積立金」です。
このほかに、マンションの引渡し時に購入者より一時金として、修繕費用を一括徴収する「修繕積立基金」があります。
これは、修繕積立金を補い、より適正な大規模修繕計画の資金を確保するための措置として導入されています。
なお修繕積立金は管理組合の貴重な財産ですので、保管と運用に関しては十分な配慮をする必要があります。そのため、管理費(日常の維持管理に必要な費用)と修繕積立金は別の費口に区分して会計処理をしています。