Vol. 13

勝どきザ・タワー マンションの防災イベントに潜入取材!

日本の災害トレンド

勝どきザ・タワー マンションの防災イベントに潜入取材!

こんにちは。防災士でイラストレーターの草野かおるです。
今回は、「勝どき」にやってきました。
勝どきと言えば、「買って住みたい街の一位」の人気のエリア。 実は、私にとっては、初めての勝どき訪問です。

マンションで行われる防災イベント?

海風が気持ちいい~。湾岸らしい海と運河の景色、 そこに高層マンションが立ち並ぶ風景はまさに近未来。

でも、ちょっと路地に入ると、昔ながらの下町風景、 新しさと懐かしさが混在する、歴史を感じる素敵な街でした。 その勝どきに、ひときわ高くそびえ立つ、 53階建ての超高層マンション「勝どきザ・タワー」。

このタワーにお住まいの人たちに向けた、 防災イベント「勝どきザ・タワー防災デー」が行われるということで、 取材に行ってきました。

「すまラボ」ってどんな施設?

2月11日、まだ寒い時期でしたが、イベント会場は、 集会室やライブラリー、パーティールームなどの、 マンション内の共有スペースを利用したもので、 天候に関係なく、快適にイベントに参加できました。

このイベントでは、6つのセミナーやワークショップを回り、 学びと体験ができるシステムになっています。
防災についての学びの他、キャンプやサバイバルなどに使えそうな、 ちょっとハードな、でも防災にもつながる面白講座もありました。

01. 「シグナリング」で助けを呼ぶ

色々なシグナリング
色々なシグナリング

シグナリングって、初めて聞きました。 シグナリングというのは、自分がここにいるよとシグナルを出すこと。
つまり、どこかに閉じ込められたり、挟まれたり、助けを求めるときに、 音を出したりして自分の居場所を知らせる。それがシグナリングなのです。

自分が閉じ込められてしまった時、大きな声をあげて助けを呼ぶ。 でも、大きな声を出すって大変な体力がいるんです。
体力を温存し、遠くまで音を響かせる。 壁の向こうにいる誰かに、自分の居場所を伝えるとなると、「笛」が活躍します。
それも、ただ鳴らせばいいというわけではないのです。 というのも、災害時は、救急や消防、普段よりいろんなものが鳴り響いている環境なんですね。

そこで、人間が鳴らしたのがわかるように、「不規則」に鳴らす。 講師の言葉に「なるほど!」と思いました。

02. 「簡易浄水器作り体験」でサバイバル気分を満喫

簡易浄水器作り体験
簡易浄水器作り体験

もう一つ参加したのが簡易浄水器作り体験でした。
泥水を透明な水にする。
もちろん、これは飲み水にはできませんが、キャンプ場での体験のようなわくわく感がありました。
野外での場合は、小石や砂を利用して泥水を濾過するそうです。

この日は、マンション内ということもあり、家にあるもので、簡易浄水器作りをおこないました。
キッチン用のスポンジやコーヒーフィルター、キッチンペーパー、テッシュペーパー、活性炭など… そういうものを詰め込んで、泥水を濾過するんです。
ご家族で参加された方々が多く、盛り上がっていました。

手作り簡易浄水器
手作り簡易浄水器

03. 非常食で、新たなおいしさ発見!

非常食で、新たなおいしさ発見!
「非常食の試食」で、新たなおいしさ発見!

40階のビューラウンジでは、非常食の試食を行っていました。
ここでの試食は、非常食の代表選手「アルファ米」と「パンの缶詰」。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、 「アルファ米」は、水でご飯に戻るという優れもの。
これは大昔からあって、戦国時代では「干し飯(ほしいい)」と呼ばれていた、歴史ある野戦食なのです。 このアルファ米を、お水で戻したバージョン、お湯で戻したバージョン、 他に五目ご飯や、缶詰のパンなどを試食させていただきました。

アルファ米の味は、試食した限り、普通のご飯と全く変わりません。
お湯で戻した場合は、ほんわかあったかくて、おひつからよそったご飯と同じでした。
缶詰のパンは、ふわふわのパン。高齢者や小さなお子様でも、美味しくいただける安心の味です。

ところで、非常食の味見と言うのは結構、重要事項なのです。
ある時の話なのですが、適当に買った非常食があり、 賞味期限が切れそうなので、その時初めて食べました。
そうしたら、口にも合わずに、結局捨てました。これってよくある失敗なんです。 もし非常時に、口にも合わない食事しかないと思うと…ぞっとします。

非常食は、食べ慣れたもの、おいしいもの、家族も好きなもので選びましょう。 非常時こそ自分でできる範囲の快適さを求めた方が、メンタル的にも良いということです。

非常食の試食体験
非常食の試食体験

04. 震災をきっかけにした想い
「わたす日本橋」って?

震災をきっかけにした想い
震災をきっかけにした想い

イベントを担当した、三井不動産の飯塚さんからお話を伺いました。
「始まりは、一人の社員です。」
彼女は、東日本大震災後の宮城県南三陸町に、ボランティアで通っていました。
そのご縁で「社員研修」が実現し、仲間も増え 「支援ではなく、交流を広げる事が大切だ」という思いから、 社内で新たなプロジェクトが生まれたそうです。

それが、東北の情報と食を発信し、交流する場としての、 「わたす日本橋」なんですね。
「わたす」は「人と人の橋わたし」の「わたす」という意味。
テーマは「気持ちを、海や山の恵みを、可能性を、橋渡しする。それを未来へと渡していく」 そこから「勝どきザ・タワー防災デー」は、防災活動の一環として繋がったのです。

たった一人のボランティア活動から始まった、水の波紋のような活動。
お話を聞いていて、 胸がじーんとなりました。

わたす日本橋 (三井不動産運営の発信拠点)

05. 「勝どきザ・タワー オリジナル災害マニュアル」

オリジナル災害マニュアル
オリジナル災害マニュアル

続いて、イベントでも忙しくされていた レジデンシャルサービス工藤さんからもお話を伺ったのですが、 そのときに見せて頂いたのが「ザ・タワー専用・災害マニュアル」。
中央区の防災アドバイザーと一緒に作ったという、ページ数のある、かなり詳しいマニュアルです。
最初のページに「大きな地震が起こった時の、三大原則」が書かれていました。

・トイレは流さない。
トイレは、建物の給排水の配管が無事でも、公共の下水道管が無事でなければ使えません。
無事が確認されるまで、トイレは流さない。

・ゴミは出さない。
非常時では、ゴミの取集が止まります。
ゴミの収集が始まるまで、各自保管になります。

・避難所には行かない。
避難所とは、災害のため自宅で過ごすことが困難な人が優先。
マンションのような倒壊の恐れがない建物の住民は、そのまま在宅避難となります。

いつでも、見れるように、ゴミ置き場に置いてあるとのこと。
仕まい込まないで、いつでも「災害マニュアル」が見られるっていうのが、大切なんですよね!

「防災マニュアルを作った管理組合と、他の住人とは防災意識の差はあります」と、工藤さん。
それ、わかります!わたしも自治会で防災担当でしたが、 住民間だけでなく、家族間でも防災意識の差が激しいのが事実。

工藤さんは、
「なので、このようなイベントを通じて、住人同士の交流や、防災に興味を持ってもらいたいのです」
とおっしゃっいました。

なるほど、それで、防災とアウトドアの楽しさを合わせ持つ、 ハイブリットなイベント「勝どきザ・タワー防災デー」になったんですね。
関係者の皆様、今後も「楽しい防災イベント」を企画してください。

身近な防災と、アウトドアな楽しみを合わせ持つ、楽しいイベントでした!

主催・協力


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