長期修繕計画策定とは?
皆様がお住まいのマンションにおいて、建物の資産価値を維持するためには大規模修繕が必要であり、そのために長期修繕計画が不可欠です。
では具体的に長期修繕計画はどのように立てられ、修繕が行われているのでしょうか。
適切な長期修繕計画策定のために、建物を理解
マンションにはコンクリートや鉄、タイルをはじめさまざまな建築資材を使用して造られています。また、設置されている設備も多種にわたり、それぞれ常に建物の機能として稼動しています。
当然のことながら、その資材、各設備の耐久性や交換時期は各部位ごとに異なり、修繕時期も一定ではありません。また、同じ資材や設備でもその環境や使用頻度でも差が出てきます。
大切なのはその建物の状況をよく把握しておくことです。建物をよく理解することが適切な長期修繕計画の基本といえるでしょう。
この基本に則り、三井不動産レジデンシャルサービスの「長期修繕計画」は30年間にわたる修繕プランを策定しています。
目に見えるところから、目に触れない建物内部まで
長期修繕計画に基づいて行われるマンションの主な大規模修繕を見てみましょう。
大規模修繕というとすぐに思い浮かぶのが建物の外壁の修繕工事です。これは築12年目を目安に行われます。またマンションの屋根やバルコニーなどの修繕工事も同時期に行われる場合があります。各種電気設備の更新工事も定期的に実施する必要があります。
主な修繕工事の内容
建築関係
外壁工事
美観を損ない、資産面でマイナスポイントとなる外壁の劣化があります。劣化が進むと大きな事故を誘発することもあります。例えば、タイル張りのマンションであれば外壁タイルのひび割れは、漏水などの心配だけでなく、場合によっては剥落などの大きな事故につながります。この場合は、劣化した部分をはがし、下地補修をしたうえで、新しいタイルを張ります。また、コンクリートのひび割れなどの場合も状況にあった方法で補修し、仕上げ塗装を行います。
鉄部塗装
マンションの鉄部は、経年により塗装表面が劣化してさびが発生します。これらの症状を防止するために、一定周期にて鉄部塗装を行うこととしています。
屋上防水工事
マンションの屋上の多くは「アスファルト露出防水」となっており、天候・気温の変化等により防水層に膨張・収縮等がおこり劣化します。そのため、一般的にトップコート(防水保護塗装)を6年周期にて再塗装し、12年を目安に改修を実施することとしています。また、ルーフバルコニーの床や一部のマンションの屋上は「アスファルト防水コンクリート押え」となっておりますが、アスファルト露出防水と比較してメンテナンス期間は一般的に長くなります。
設備関係
見えない部分でも劣化や不具合が生じています。定期的に検査し、適切な交換(更新)を行います。
排水ポンプ
排水ポンプは異物が混入することから耐用年数も短く日常的な点検も大切であり、定期的に交換することが望ましいとされています。
照明器具
照明器具自体の錆や塗装劣化に伴い、絶縁不良等が発生します。取付金具は劣化すると落下する危険があるため、定期的な一斉交換が必要になります。また、天井や外壁に設置されている照明のサイズ変更等に対応するため、外壁工事時に実施することが望ましいでしょう。
送排風機
ゴミ置場やエレベーター機械室等の排風機(換気扇)等は稼動頻度が高いため定期的な交換が必要です。
ガス感知器
ガス漏れを感知する感知器は老朽化すると誤発報が多くなったりするなど不具合が発生します。そのため、定期的な交換が必要です。
建物修繕部位